ちくわの穴

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『ONE ~輝く季節へ~』 長森瑞佳

 ちょっと古いゲームですが、エロゲーマーでこの名前を聴いたことのない人は少ないかと思います。かつて「泣きゲー」と呼ばれるジャンルを開拓し、以後、数多くの作品に影響を与えてきたあの伝説の作品です。

最近では、CLANNADを見る → 麻枝准を知る → Key作品をプレイ → tactics時代の作品も…というのが王道を往く流れかと思いますが、自分も例外ではなく順調にその経路を辿ってきた一人だったりします。

しかし当時の私は、持ち前の飽きっぽさから途中で放り投げてしまったのでしょう。遡ること数日前、

「そうえいば瑞佳ルートやって無いぞ!」

と、急に思い立ってHDDの隅っこに眠っていたONEのexeファイルを起動したことが事の発端になります。

 

以下ネタバレでございます。

  かなり久しぶりにプレイするので、ただでさえ記憶容量の少ない私は内容なんて殆ど覚えていない訳です。ですので、復習の為にも共通ルートから通してプレイしました。まずは全体的な感想でもだらだらと書き綴って参ります。

<感想>

 古い作品なだけあって、やはり時代の流れ感じずにはいられません。平安時代の文学を現代人の我々が読んで、「名作って程か?」と疑問に思ってしまうのと同じ様なものかもしれません。お隣のLeafを覗いてみると、「痕」なんかはその最たる例ではないでしょうか。

しかし、「古い作品=無用の長物」なんてことはなくて、それこそ現代でも十分通用する部分は数多くあります。なにより、その時代の作品の持つ独特の雰囲気というものが感じられて、私個人としてはとても好きなのです。

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懐かしいなぁ。プレイ当時、澪ちゃんが一番好きだった記憶があります。

「背中に張り付いていた」だとか「制服にぶら下がっていた」だとか。この文章を見るだけで、「ああ澪だ」ってなります。日常パートの中でさり気なくキャラクターを特徴付けていく、これらの絶妙な表現は流石だと思います。多分、久弥氏の方かな?

 

 また、忘れてはいけないのが音楽です。ボーカル入りのOPやEDはございませんが、とにかくBGMが素晴らしいです。

「8匹のネコ」

瑞佳のメインテーマですね。一見ありふれた日常BGMのようですが、改めて聴くとこれがまあ良いです。ちょっとお節介な瑞佳を表現したような曲で、脳裏に彼女がぽっと浮かんできます。「ほらー、起きなさいよー」と瑞佳の声が聞こえてくる気さえします。

「雪のように白く」

雨の日とか、文字通り雪の日とか、ちょっと寒い日とかに外出先で聴きたくなる曲ですね(意味不明)。上手く言葉で表せませんが、素朴な良さがある曲です。

「雨」

これ。恐らく多くのプレイヤーの心を捉えてきた名曲だと思います。自分はこれを聴くと、真っ先に「あの空き地」と「傘を差した茜」を思い出します。 f:id:tikuwa_s:20170209003147j:plainCopyright ©NEXTON All rights Reserved.

あるブログで茜ちゃんのおさげが馬鹿にされていて悲しくなった思い出があります。可愛いのにね。恐らく美少女ゲーム史上二人といない独特なシルエットだと思います。

独特な特徴を放つ旧いたる絵ですが、中でもこの頃は特に際立っていたと思います。しかしいたる絵というのは不思議な魅力があって、私を含め、一部のファンはむしろこの頃のいたる絵を信奉している傾向にあるように思えます。

 

<瑞佳ルート>

 さて、だらだらと書き綴ってきましたが、そろそろメインテーマに入ろうと思います。瑞佳ルート。噂には聞き及んでいましたが、まさかこれ程の苦痛を想像しただろうか。

 真実の幼馴染はラムネの七海先生だと信じて疑わない人ですが、これはまた違ったベクトルで賞賛すべき幼馴染なような気がします。この瑞佳ルートでは、ラストの盛り上がりというよりはむしろ、ここまでの仕打ちを受けておいてなお主人公を信じ続ける瑞佳ちゃんの健気さに感動しましたね。

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皮肉にも一番印象に残ったCGだったりします。信じていた人に裏切られた目。主人公に苛立ちを募らせていた第三者のはずのプレイヤーも、思わずドキりとしてしまいます。心を抉りとられたような、そんな気分です。

この一件の後は主人公も心を入れ替え、あとはいつも通りの下りで「えいえんのせかい」に旅立っていきます。

 今でこそ神格化されている(某アニメの影響で少し下落気味な印象も受ける)麻枝准ですが、この頃はもう一人のシナリオライターである久弥氏と比較され、「外れライター」呼ばわりされていたそうです。「んな馬鹿な!」と当時信じられなかった私も、繭ルートをやってみて納得した覚えがあります。

しかし、今回の瑞佳ルートに関してはそれほど悪くない、むしろ良かったとさえ思います。勿論、プレイヤーと幼馴染に尋常じゃない苦痛を与えたことに関しては弁護のしようもないですよ。それでも、良くも悪くも瑞佳というヒロインを際立たせる結果になったことについては納得せざるおえません。

胸クソ悪い展開ではありましたが、皮肉にもその影響でこのシーンが際立ったのは確かです。瑞佳さんが女神を通り越してむしろ「仏」と形容される理由にも納得してしまいます。これを真実の幼馴染と呼ばずして何と言おう。

また、ユーザーに嫌われることを厭わない、こんなにリスキーなシナリオは現代エロゲ市場ではなかなかお目にかかれないので、貴重な経験をさせていただいたという意味でも良かったです。

結果として、私はこのシナリオに非常に満足しており、また、長森瑞佳という真実の幼馴染に骨抜きにされていたことを、執筆しながら実感するのでした。つまり、最初から最後までライターの手の上で転がされていた訳ですね。いやはや、麻枝准の才能は「○れライター」と呼ばれていたこの頃からも垣間見ることができました。

でも、中の人はメンタルが弱いのでもう一度最初からプレイしようとは思えませんね。